“「自分の仕事をつくる」というタイトルには、他人事ではないこと、他の人には肩代わりできないこと、任せたくないこと、ほかでもない「自分の仕事」をしよう!という願いが強く含まれている。”
著・西村 佳哲
いつか上野駅の本屋に立ち寄って手に取ったこの本は、通勤電車の中で何度も読み返している。
この本では、デザイナーとか、パン職人とか、サーフボードを磨くシェイパー、ファシリテーションを行うマネージャー、プラモデル屋など、その道の職人さんらが登場しインタビューを通して彼ら彼女らの仕事との関わり方というものが語られている。
そこには哲学や人生論のようなものがあり、読んでいてとても刺激される。
私自身、同じ環境で働き続けてきた中で、年々違和感も大きくなり、また年齢的な点からも改めてこれからのことを見つめ直すようにもなった。
そうした時に、いつどこでも壁打ちできるAIというのは便利で、自分の思考の整理や方向付けの役に立つし、感情的なモヤモヤというのを誰の迷惑にもならずに外出しして客観視できる、という手段にもなるので、読書によるインプットと、そこで発生する感情と、仕事におけるあれこれ、これらをアウトプットしていくと自分の中でコンテキスト化するので、自分の見直しになる、そういうきっかけにもなっている。
インタビューを受ける人はモノづくりに関わる人が多く、だからこそその人の哲学の輪郭がハッキリしており、インタビュー内容も明快だ。
そこで発せられるメッセージと、著者が差し込むメッセージが二人三脚でこちらに迫ってくる。しかしそこには豊かさがあり、それが私に取っての刺激となる内容なのだ。
引用したい節は沢山あるが、例えば最初の方で出てくるこの一説。
モノを手にしたときに、自分が大事にされている感覚、ってちょっと思い出せない。
一方で、デザインって「人を幸せにする」ことが目的と言われ、つまり本質的にそれを使う人を大切にすることを意味しているはず。
そうした時に、大事にされている、という感覚を受け取るのは、デザイナーがデザインした意図が過不足なく受け取り手に届いた時であり(当然その間で関わる人たちも沢山いるわけだけど)、それって素敵だなと思うのと、そうした感覚・世界があるのだという発見がある。
お気に入りの食器というものはあるけれど、自分が大切にされている、というセンスまでは磨かれていないので、そういう解像度を上げてみたい。
と、少し蛇足でもあったけど、ここで言いたいのは、仕事をする人がいて、仕事は何らか社会に関わっており、ということはその先にその仕事を受け取る人がいる、この関係の中で、自分が如何に「自分の仕事」ができているか、だ。
そして、そこで自分が実感したいことが何なのか、どうすれば実感できるのか、を考えた時に、自分の今後の仕事のこと環境のことを見つめ直すことになる。
他の本も読みたくなった。