著:デイビッド・エプスタイン
非常に示唆に富む内容だった。
ゴールを逆算し、早いスタートを切って、効率的に学んでいきそこに到達する。
それが効果的な場面もあるのだろうが、それが全てではないし答えでもない。一般的なアプローチとしてこうした方法論はよく見聞きするところだが、これに対して著者はこう述べる。
私がこのテーマに関心を持ったのは、ソーシャルメディアの記事からカンファレンスの基調講演までが、早めの専門特化こそがうまく生きるためのコツであり、さまざまな経験や実験という「ムダな時間」の削減になると訴えていたからだ。こうした議論に、一石を投じたいと思った。
教育のこと、キャリアのこと、問題へのアプローチのこと、自分自身のことなど、複数の切り口から「経験の幅」の必要性を説いている。
子育てについて役に立つし、自分のキャリアとの向き合い方についても役に立つ。
いま自分に必要なことがここに書かれている感覚を持つ。
変化が激しく、状況がどんどん変わっていく。その流れの中で、自分はどうしていきたいのか。
しかしこの問いかけは自分にとっては誤りだったかもしれない。何故なら、この問いで悩んでしまい、時間が過ぎていったからだ。しかし、一方でそれが必要な時期であったとも思うし、本書にあるこの一説に背中を押される。
「人生と同じで、学びの道のりとは(失ったものや失敗を)挽回しようとすることだ」
明確な失敗があったわけではないが、大きなフラストレーションがかかったことは、学びの中にいるのだと捉え直せるし、悩んだ結果としての巻き返しをいましている感覚に陥る。
「『試して学ぶ』であって、『計画して実行』ではない」
そういうことなのだ。試して学んで、次に繋げていく。
まずは手の届く範囲から、興味が湧くこと、面白そうと思えることを試してみる。
それがあなたにとって、“幅”を広げる第一歩になる。