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Chatter

“人間には内なる会話による痛みがときどき必要なのだ。肝心なのは、ネガティブな精神状態を完全に避けることではない。その状態に押しつぶされないことだ。”

 

著者:イーサン・クロス

 

あなたは内省をする方だろうか。するとしたらたまにだろうか、それとも頻繁にだろうか。
私は頻繁にする方で、ある場面を振り返って状況の意味を再確認したり、自分の言動を思い返して落ち込んだりする。
あれこれ頭の中で言葉が飛び交い、ぐるぐると思考が続くような時もある。
この内省、付き合い方を間違うと考えがどんどん偏っていくことになるので注意が必要だ…..とは分かっいるつもりでも、どうも自分の考えの”クセ”に引っ張られてしまうことが多い。
自分の考えも、割と自分の気分や身体の調子によってポジティブ vs ネガティブ 度合いが変わるようにも思うので、自身のメンテナンスも大事である。
とはいえ、こうした頭の中のひとりごとともっと上手く付き合えないだろうか、と思っていたところにピッタリなこの本を見つけた。

著者は、意識する心のコントロールに関する世界的な第一人者だそうで、数々の論文や名のある受賞歴やホワイトハウスの政策議論にも参加することもある著名な人らしい。
その人を以てしても、思考の意識的なコントロールが難しいということが、冒頭から読者へ突きつけられる。
それは、著者が脅迫状を受け取ったことがきっかけだった。

こうして私は、身動きが取れなくなっていた。
真っ黒なリビングルームだけでなく、自分の心に浮かぶ悪夢の中で。自制心の研究を専門とする研究室を率いる科学者であり、執拗なマイナス思考のスパイラルの制御法に関する専門家でもある私は、午前3時にちっぽけなバットを握りしめて、窓外を見つめ、狂気に満ちた手紙を送りつけてきた悪魔だけでなく、頭の中の悪魔に苦しめられていたのだ。
どうして、こんなことになってしまったのだろうか?
(引用:はじめに P2.)

人は恐怖や不安など、感情的になればなるほど思考がドミノ倒し的に発生するのは実感としてとても分かる。
だから、ネガティブな感情に思考が支配されないよう、瞑想などを取り入れて頭をクリアに保つことの良さが盛んに叫ばれているが、著者はこうも主張する。

21世紀に広く行き渡った文化的真言(マントラ)は、「いまを生きよ」という勧めである。(中略)
人間の心を研究する科学者として、私はこの善意のメッセージが生物としての私たちの仕組みにどれほど逆らうものかを指摘せずにはいられない。(中略)
近年、いかにして脳が情報を処理するかを調べたり、リアルタイムで行動を観察したりする最先端の手法によって、人間精神の隠れたメカニズムが解明されてきた。(中略)
目覚めている時間の1/3から1/2のあいだ、私たちはいまを生きていないのである。
(引用:はじめに P13-14.)

どうやら人間という生物は「いまを生きる」ようには出来ていないようだ。
これは瞑想の効果を否定するものではないが、如何に「いま目の前のことに集中する」ことが難しいかを示しているし、思考の脱線が普通であることを指摘している。

ではこうした、リスクやストレスがかかるような場面において、「内なる声」をコントロールすることは不可能なのだろうか?
「内なる声」が頭の中であれこれ自分に発する言葉に引きずられ、自分で自分を苦しめることは避けられないのだろうか?
答えはYESでもありNOでもある。

「内なる声」は強力であり、一度負のドミノ倒しが始まれば、著者のように午前3時にバッドを握らせることにもなるし、私のように目に見えない不安に襲われチャッターが勢いを増しぐるぐると同じことを考えては疲れ切ってしまうようなことを引き起こす。
だがしかし、そうしたドミノ倒しを起こさないよう、試してみてほしい方法を本書では紹介している。
それを具体的に紹介することはここでは避けるが、ざっくりと紹介すると主に以下が挙げられる。

  • 距離をとる
  • 自分に話しかける
  • 人間関係を活用したり向上させたりする
  • 環境の恩恵を受ける
  • プラセボや儀式を利用する

などだ。これらの方法は何も特別なことではなく、日常的に試せる。
どれか特定の方法が万能、というわけではないが、これらを上手く使う、組み合わせる、など自分にとってやり易いものを試してみると良い。
(もしかすると既に知っている方法もあるかもしれない)

これらの技法を道具箱(ツールボックス)と著者は呼び、内なる声がヒートアップしたときに、それを冷ます方法論として調査・研究を続けており、アメリカにおける調査結果も良好なようだ。

始めやすいものから始めてみようと思い、頭の中のひとりごとが盛り上がる兆しを自覚したら、「自分の名前を自分自身に呼びかける」ということをやっている。(今のところヒートアップを防いでくれているように思う。)

これは自分自身と距離を取る手法の一つだが、コーチングにおける対話にも通ずるものがある。
コーチを取っていなくても、コーチング的発想を持てるように、「内なるコーチ」が自分の中にいると良いと思う。
そのためには、「内なる批判者」を「内なるコーチ」へ変身できるようにしたい。
まずは、心身をひとりごとに支配されないようにすることが肝心だ。

自分の”チャッター”に悩まさる経験がある人にはオススメの本なので、気になった人は手にとってみてはいかがでしょう。

自分の思考に向き合おう

日々忙しく過ごしていると、なかなか自分のことや今後のことを考える時間が持てない。そんなことありませんか?
あるいは、一人で悩んでいて、なかなか人には相談できない。
もし、そんな状況にあるのなら、ちょっとだけ立ち止まって考える時間を作ってみませんか。
なかなか人に言えない悩みがあるなら、まずは言葉にしてみませんか。
そのお手伝をします。対話の中から発見や納得が生まれることもあるんです。
立ち止まって、自分の思考に向き合ってみると、何かが見えてくるかもしれません。

一緒にその時間を作って見ませんか?

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