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チュニスで飲み会

前回書いたフランス門を抜けると、チュニスのメディナがある。

メディナはチュニジア各地にあって、いろんな店が開いて商売する場だ。
ここチュニスのメディナは世界遺産にもなっており、古い建物と建物の間に、ところ狭しと店が軒を連ねている。
イメージとしてはアメ横をもっと狭くした感じ。
この日は日曜日で、営業している店は少なくシャッターが目立った。
入り口からは奥へ進むのがちょっと怖そうだったけど、みんな親しく話しかけてくれるので、ずいずいと散策することにした。

日曜なのでシャッターがしまっている店が多いのが残念。

チュニスのメディナ(旧市街)

1979年にユネスコの世界遺産に登録されたチュニスのメディナ。7世紀に建築が始まり、13世紀からはアラブ文化の根付く場所として、世界の観光客を魅了し続けています。もともとチュニスのメディナは城壁に囲まれていましたが、今はいくつかの門を残すのみ。城門をくぐると、迷路のような路地の両側に所狭しとお店が並んでいます。

チュニス市民向けのお店に混ざって、観光客向けのお土産やさんもいっぱい!銀食器や陶器、革製品、布製品、スパイス、香水、トルコ帽、バブーシュと呼ばれる革のスリッパなどなど、アラブ世界を感じられるお店が並んでいて、見ているだけで楽しい空間です。観光客と見ると、呼び込みの店員が張り切って声をかけてきますが、購入の際は値段の交渉をお忘れなく。

メディナ観光に疲れたら、チュニス市民と同じようにカフェで甘いお菓子やミントティーをオーダーして、アラブの雰囲気を満喫してみてくださいね。

skyticketより

コンニチワ、と話しかけてきてくれる

散策していると、日本の”旅”という雑誌を見せてくる人がいる。
なんでもこの雑誌で紹介されている店で、日本人観光客もしばしば利用するようだ。
話が始まると、とりあえず座れよ、といって店の前の椅子にすわり、談笑し始める。

めっちゃキメ顔してくる

売り込み二人、職人一人、ボス一人で経営している店のようだ。
色々話をしていて分かったのだが、チュニジア人は観光地ということもあってか、アラビア語、フランス語はもちろん、英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語が、特に商売している人は話せるそうだ。
どこまで話せるのかは知らないけど、言語への対応力に恐ろしいほど長けているようだ。羨ましい。なぜこうも言語機能の差が生まれるのか…。
あと、ラマダンが11日で終わり、ラマダン明けで日中でもやっと飲み、食い、タバコを楽しめるようになったのだと。
そして、ラマダン明けは服や靴も新品なものを身につけるそうだ。

ラマダン(ラマダーン)とは

「ラマダーン」を、断食のことと誤って捉える人も少なくないが、ラマダーンとは、あくまでもヒジュラ暦における月の名である。ただし、ラマダーンという言葉が断食を今日では意味することも増えてきている。
ヒジュラ暦で9月を意味するラマダーンに、コーランが預言者ムハンマドに啓示され、イスラム教徒にとって、ラマダンは「聖なる月」となった。

この月において、ムスリムは日の出から日没にかけて、一切の飲食を断つことにより、空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人や平等への共感を育むことを重視する。また親族や友人らと共に苦しい体験を分かち合うことで、ムスリム同士の連帯感は強まり、多くの寄付(ザカート)や施し(イフタール)が行われる。

断食中は、飲食を断つだけではなく、喧嘩や悪口や闘争などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めてイスラム教の信仰心を強める。
ラマダーン明けの祭りは「イド・アル=フィトル」と呼ばれ、盛大なものである。

wikipediaより

談笑した後、何か買って行くかなーということで、アラビア語で名前を彫ったリングを買う事にした。
トモダチ価格で半値にしてくれた。(元々が高いのだろうけど。)
日本のものを何かくれよ、というので、しょうがないのでボールペンをあげた。
職人が工房へいき、その場で作ってくれた。

ここが店とは別の場所にある工房。一緒について行って見学させてもらった。

一通り終わって別れようとすると、このあと一緒に酒を飲まないかと誘われる。
うーん、確かにこのあとヒマだからなぁ。でもどっかの店にいって奢らされたりするのも嫌だなぁ。
と考えていると、店は高いからスーパーで買って飲もうぜ、あと荷物はホテルに置いてから来いよ、と言ってくれた。
この発言に安全を感じたので、1時間後に戻ってくると約束して、一旦別れる。

そして一度ホテルで身軽になってから、さっきの店に戻ってきた。
もちろん、金は最小限、財布は取られても良いような中身にして、という構えで。
知らない人も増えている。どうやら友達のようだ。酒とつまみを買うために、スーパーへ。
ここで、チュニジアではイスラム教の関係で、一般の店にはアルコール類は置いていないようで、専門の店で買う必要があるようだ。

チュニジアでアルコールって飲めるの?と気になる人は以下のコラムを。(skip可)

チュニジアはイスラム教の国だ。戒律の厳しいイスラム教の国だとアルコールを作ることも飲むことも禁止されている。
なので、アルコール飲めるの?という疑問が湧くが、飲めるんです。
観光大国であり、ヨーロッパに地理的にも近い関係から先進的で寛容な文化が比較的ありつつ、チュニジアの歴史にワイン造りがあることも関係している。

チュニジアのぶどう栽培とワイン造りの歴史は古代にまでさかのぼる。
紀元前3千年頃、古代オリエント人が野生のぶどうの汁を自然発酵させて飲んでいたのを、同じ頃地中海沿岸で活躍していた海洋民族フェニキア人がヨーロッパに伝えた。フェニキア人が各地に築いた植民都市のなかでも「海の帝国」と呼ばれ、ローマを嫉妬させるほどの繁栄を誇っていたのがカルタゴ、今のチュニジアにあたる。

海上貿易によって経済力をつけ、農業と樹木栽培を発展させたカルタゴには、古代の最も有名な農学者であり醸造学者だったマゴン (Magon) がいた。マゴンの著したぶどう栽培の技術や複雑な仕込み方を含む農業専門書「マゴンの農業書」全28巻は、ラテン語、ギリシア語に翻訳されてヨーロッパに広まり、ワインがローマに伝えられたのだった。
その後ローマ帝国に征服されることになるが、再建後に
地中海周辺地域に向けて穀物やオリーブ油などとともにワインを輸出していた。
そしてローマ帝国の衰退によりいくつかの国から占領を受け、7世紀頃イスラム帝国のアラブ人に征服されたところでイスラム教が入ってくることに。
その後オスマントルコにも支配され、19世紀後半の帝国主義によりフランスの植民地支配化におかれたことで、古代から伝わるワイン造りが息を吹き返すことになる。

ワイン造りの土壌がありつつもイスラム教が入ってきたことで禁酒の歴史も生まれ、フランスの文化も混じり現代化したことで、アルコールとの距離感がいまの形になっている、ということなのだ。

M&P Corporation チュニジアのワインより

ここがアルコール販売所。地元の人しか分からん..

…..店なのか?
とりあえずここでビールを買う事にした。チュニジアのビールを飲みたかったが、おいしくないし高いだけだ、と言うので、勧められたハイネケンを選ぶ。チュニジアに来てハイネケンかよ。
この写真の、ぶれたおやじにハイネケンを5本お願いする。
チップを渡しているようだったので、真似てチップを渡したら喜んで挨拶のキスをしてくる。ヒゲが痛い。

買い物を終えたので、連れて行かれるがまま、メディナの奥の奥の、そのまた奥へと進んで行く。
迷路のようだ。かなりdeepなとこへと進んで行く。
もはや引き返せないゴクリ。
そのうち、とあるアパートのようなところへ到着し、2階へと上がって行く。どうやらここも、工房のようだ。色んな商品と装置が並んでいる。
全てハンドメイドだそうだ。さすが職人。

屋上から見える周囲はこんな感じ。こうした住まいが普通なのか、と世界を垣間見る。

 

買ってきたビールらを、容器に入れて、氷を砕いてアイスボックスを作る。

ワイルド

中か外、どっちで飲む?と聞かれるので、そりゃ外だ!と答える。
万が一に備え、非常時の緊急脱出を考えたら外が良いし、何より外飲みのほうが気持ちがよい。

壁に覆われているが、天井はなく空が見える。職人が水をまき、周辺温度をさげる。打ち水は世界共通か、という発見をした瞬間だった
壁に登って周囲を見渡していたら、職人に降りろ降りろと注意される。
なんでもこの周辺は住宅地だから、覗きだとかうるさくすると周囲に迷惑だから、良くないそうだ。静かに楽しもう、ということだ。失礼しました。

ということで、職人とその友達2人と一緒に外飲み開始。
ハムとチーズのようなもの(名前聞いたけど忘れた)をつまみに、ビールをいただく。

タバコは吸わないというと、日本人でタバコを吸ってるヤツを見たことないと言われる。旅行者で吸うのは少ないのかな。
その内、職人が瓶を持ってきた。白ワインだというのだが、シャンパンに見える。これは…

案の定、フタを明けて”パーン”と音を立ててフタが住宅地へと飛んで行く。
“それが一番うるさい!” とみんなで大笑い。
その後はクマさんの結婚式動画を見せてもらったり、マジシャンに年齢あてられたり(童顔なので、海外においてこれはかなりレア)、職人がiphoneに興味深々(made in / assembled inに。さすが職人。) で、売ってくれ売ってくれと言いよられたり、下ネタトーク(これは世界の男子の共通事項だ)になったり日本の事だったりと様々。

左がクマさん、右がマジシャン。

後から一人合流して、結局夜まで楽しんでしまう。

だいぶ暗くなってきたので、そろそろホテルに戻るよと告げる。
みんなとハグしてお別れ。新婚クマさんが帰り道を送ってくれるそうだ。ありがたい!
アパートを出て少し歩いたところで、職人とマジシャンがこっちに来る。
どうやら見送りに来てくれたらしい。またもやハグして別れる。感謝の気持ちでいっぱいだ!誘ってくれてありがとう!

ちなみに夜のメディナはこんな感じ。
見かけ上、大変危険だ。クマさんがいて良かった。

 

初日から本当に良い出会いがあった。みんなフレンドリーに接してくれる。これは日本へのイメージが良いものだからだろう。
先人達に感謝だ。

この出来事は自分にとって大きな体験だった。
飛び込んでみないと分からない、ということは多い。危険だから…といって断っていたら、こんなに思い出に残る夜を過ごすことはできなかった。

迷ったら、思い切って飛び込め。

これが良い意味で、自分にとって一つの人生経験になった出来事だった。

もちろん、これはラッキーな出来事だっただろう。これが悪い奴らだったら、身ぐるみ剥がされていたかもしれないし、もっと悪い事になっていたかもしれない。
そこはやはり、自分を信じるしかない。相手が信用できるか、危険があった場合どう対応するか、など、自分の感覚と判断で決めるのだ。

こうして初めての海外一人旅は、最高のスタートを切ったのだった。

自分の思考に向き合おう

日々忙しく過ごしていると、なかなか自分のことや今後のことを考える時間が持てない。そんなことありませんか?
あるいは、一人で悩んでいて、なかなか人には相談できない。
もし、そんな状況にあるのなら、ちょっとだけ立ち止まって考える時間を作ってみませんか。
なかなか人に言えない悩みがあるなら、まずは言葉にしてみませんか。
そのお手伝をします。対話の中から発見や納得が生まれることもあるんです。
立ち止まって、自分の思考に向き合ってみると、何かが見えてくるかもしれません。

一緒にその時間を作って見ませんか?